院長ブログ|大阪のがん免疫療法(免疫細胞治療)内科|吹田市 緑地公園駅近く 北大阪メディカルクリニック

院長ブログ

No.163 抗癌剤をやめるタイミング

2022年07月31日

一年ほど前から当院に通われている患者さんがおられるのですが、その方は、診断がついた時点でステージ4で手術適応ではなかったので、主治医からは抗癌剤治療を勧められました。しかし「抗癌剤治療は受けない」という強い意志を持っておられたため、当院で免疫治療を受けてこられました。

抗癌剤治療を受けるか受けないか。いつ使うか、いつまで使うか。これは難しい問題でしょうし、正解はないと思います。抗癌剤の使い方として、手術前に使うものと手術後の再発率を下げるために使うもの、再発したためつかうもの、手術ができないためにつかうもの、といろいろな場合があります。術前や術後再発予防の使用に関しては、回数が決まっているのでやめ時を迷うことはないと思いますが、そうでなかった場合、いつまでするのか、というのはなかなか難しい問題です。

主病院の主治医は、1stラインが効かなければ2ndライン、2ndラインで効果見られなくなったら3rdラインと進めることが多く、それが効かなくなったら「もう、治療方法はない」と言うことが多いのではないでしょうか。

「治療方法がない」といわれると、「見放された」と思わる方もおられますが、決してそうではなく、「次に有効と考えられる抗癌剤はない」ということです。いつまでも治療方法があるわけではありませんし、2ndライン、3rdラインと重ねるごとに効果の期待値は低くなります。一番効果があるとされるものを最初に用いますので、3rdラインともなると、副作用の問題もありますので、果たしてどこまで効果を期待して治療するのか、ということになるでしょう。

最初にお話ししたかたのように、「抗癌剤はしない」と最初から決めておられる方は迷わないのですが、抗癌剤を始めたかたはやめ時がとても難しいと感じます。「ここまで頑張ったのだから、もう少し頑張ろう」とか「もしかしたら次の抗癌剤が効果があるかもしれない」とか、当然ですが迷います。また、「二週間に1回の投与と決まっているのだから、三週間に1回にしたらだめだ」とか「一回飛ばしたら再発するかもしれない」と不安になり頑張って治療を受けられる方もおられます。

私は、抗癌剤治療を否定するものではありませんので、もし自分ががんになったら、1stラインの抗癌剤はするだろうと思います。抗癌剤のしんどさを知らずに、こんなことを言うのは軽々かもしれませんが、1stラインはありかなと思っています。ただ、2ndライン、3rdラインと重ねるか、と言われると二の足を踏むように思います。「一番効果がある」という抗癌剤にも生き残ったがん細胞を「効果が二番目の抗癌剤がやっつけることができるのか」と。確かに、3rdラインが大変効果があったかたも経験していますので、絶対に効かないとは思いませんが、副作用と「効果がある=治るわけではない」という意味を考えた時、そのバランスをどう考えるか。

主治医も、内心では「もう治療方法がない。」「これ以上しても体力を落とすだけだ」と思っていても、患者さんから「見放すんですか」「何か方法はないのですか」と言われると、3rdライン、4th ラインとしてしまう気持ちもわかります。

抗癌剤の中止基準を、副作用がつらいとき、体重が1割~2割減ったとき、日中の半分以上横になっていないとしんどいときなど、自分なりに持っておくのはいかがでしょうか。治療を受けていく中で、その基準は変わってもいいのです。「なんのために抗癌剤をするのか」という目的をもち、自分で中止のタイミングを決めることが、自分の時間を大切に生きることにつながるのではないかと思います。そして、「可能性があるならすべてトライする」というのもありでしょう。

ブログ一覧