院長コラム|大阪のがん免疫療法(免疫細胞治療)内科|吹田市 緑地公園駅近く 北大阪メディカルクリニック

院長コラム

No.89 オンライン診療・オンライン授業・テレワーク

2020年09月16日

ウイルス感染の広がりを防止するためにいろいろな対策が取られています。人と人の接触を減らすようにということで、マスク、フェイス・シールドの着用。パーテーション越しの応対。そしてオンラインでの診察・授業・仕事。

医療の世界でも「長期処方」が可能となり、「2ヶ月、3ヶ月顔を見ないで薬だけ処方する」という時期がありました。多分患者さんは、「いつも外来に行っても長い時間待たされるし、“お変わりないですか” と聞かれて薬を貰うだけだからオンラインが良いなあ」「これからも便利なこの方法が増えるんじゃ無いかな」と思われているかも知れません。

しかし、意外と我々はいろんなところを診ているのです。例えば私が待合室に患者さんを呼びに行くときには、患者さんがソファから立ち上がる動作が遅くなっていないか、横の手すりを持っているか否か、歩く速度はどうか、などを診ています。それに、やはり胸の音を聴く、皮膚に触って湿潤の程度を診る、喉の奥が赤くないか、リンパ腺は腫れていないか、腫瘍の大きさはどうだろうか、腸閉塞の徴候は無いか、むくみは無いか、等々とオンラインでは得られない情報を得ています。つまり、オンラインでできることはたくさんありますが、できない事もたくさんあるわけで、そこの見極めは大切だろうと思います。

学生のオンライン授業というものもかなり広がってきたようです。しかし、学校は勉強をするだけのところでは無く、社会性を身につけるところでもあります。勉強するだけが目的なら、本を買ってきて自分で勉強すれば良いことであって、わざわざ電車に乗って学校に行く必要はありません。学校は社会に出ていく為の準備をするところだと思いますから、人とのコミュニケーション能力を養い、その場の雰囲気をよむ力、交渉する力をつけ、相手を思いやる気持ちを更に磨いて欲しいのです。相手との距離感、温度差を感じたり、目と目で話し合ったりということは画面を通してではなかなかできないのではないでしょうか。

会社もテレワークになり、出社回数がかなり減ったところもあるようですが、オンラインでは感情を出しにくいように思います。時間的・空間的距離があることにより、また複数の社員が同一画面にあることにより、感情を抑え込んでしまうように思います。オンラインでのやりとりは直接対面でのやりとりにかわるものでは無いようです。

確かに今回、オンラインでできることがたくさんあることに気づいたので、その点はこの機により充実させていければ良いと思います。しかし、人と人とが近距離でしか育めないこともあります。「手当て」という言葉が我々の仕事場ではとても大切な事なのですが、「手を当てる」つまり「触れる」と言うことは、心を穏やかにし、安心に繋がる行為だと思っています。何か辛いことがあったときに、画面の向こうで話を聞いてくれるのと、隣に座って、時には目を見て頷いてくれるのとでは明らかに違うでしょう。

今のオンラインでの生活が長く続けば、いづれ心の安定性が損なわれ、感情形成に支障をきたしてしまうのではないかと心配しています。ですから、遠からず、また人と人が直接ふれあい、笑ったり怒ったりできる日が戻ってくると良いですね。

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