院長コラム|大阪のがん免疫療法(免疫細胞治療)内科|吹田市 緑地公園駅近く 北大阪メディカルクリニック

院長コラム

No.97 術後の抗がん剤治療

2020年11月18日

癌の手術を受けたとします。早期であれば手術だけで治療は終わり。しかし、ある程度病期が進んでいる場合や、病理組織検査の結果、顔つきが悪かった場合などには、「再発予防のために、術後、引き続き抗がん剤治療をしましょう」と言われることがあると思います。

すると、「追加の抗がん剤を受けないと再発するのだろう。それなら抗がん剤治療を受けよう」と思うでしょうし、「追加の抗がん剤治療を受けたら、再発しないだろう」と思うのではないでしょうか。

しかし、そうではありません。例えば再発のリスクが50%の癌があったとして、術後抗がん剤治療を受けたら、そのリスクが「40%になる」くらいのものです。つまり、10%ほど再発率が下がるということ。

さてこの10%の違いを「この差は大きい」ととるか、「あまり変わらない」ととるかは人それぞれです。例えば、75歳のかたが癌の手術後、「抗がん剤をしましょう」と言われても、「副作用が辛そうだからしない」という選択もありでしょう。また例えば40歳のかたであれば、「子どもがまだ小さいから、少しでも再発のリスクを下げられるのなら」と「抗がん剤治療をする」という選択もあります。

術後抗がん剤をしなくても、50%の人は再発しないとなると、その方にとっては、半年なり1年の抗がん剤治療は、副作用に悩まされるだけで意味が無かったことになります。抗がん剤による体力の減退、通院にかかる時間や費用の問題、仕事の問題。いろいろな事を総合的に考えて判断することになります。しかし、術後再発するか、しないかはわかりません。抗がん剤治療をしたから再発しなかったのか、抗がん剤治療をしなくても再発しなかったのかは、わからないのです。

どちらが正しいというものではなく、それぞれの立場、生活スタイル、考えかたで選ぶことになります。しかし、多分、術後の抗がん剤は「するものだ」と思っておられるかたが多いのではないでしょうか。

仮に抗がん剤治療を受けずに再発したときに、「ああ、あのときに受けておけば良かった」と思わなければ、受けないという選択はありです。抗がん剤治療を受けたのに再発したら「ああ、あんなしんどい思いをして、半年間も抗がん剤を受けなければよかった」と思うかも知れません。正解が無い問題ですから、どちらが良い悪いではありませんし、選んだ結果に関しては誰のせいでもありません。

世の中には、「正解が無い」ものはたくさんあります。同時に選べないものは比較ができないのでなんとも言えません。その時に、いろいろ考えて、悩んで選んだ選択が良かったのです。

術後に抗がん剤治療をするというのは60年ほど前から試みられていることですが、その当時は、抗がん剤の上乗せ効果が4%、5%というものでした。しかし、新しい抗がん剤が開発されたり、副作用を抑える薬が開発されたりして、上乗せ効果は少しずつ良くなってきています。もし、手術後に抗がん剤治療を勧められたなら、その効果の程について、主治医にお聞きになるのもいいと思います。

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