院長コラム|大阪のがん免疫療法(免疫細胞治療)がん治療 北大阪メディカルクリニック

院長コラム

No.83 医師もふつうの人間

2020年08月05日

皆さんに、医師がどのような人間として映っているかはわかりません。が、例えば、自信があって、居丈高で、人の話はあまり聞かず、人の最期に慣れていて・・・などと思っておられるかも知れません。

しかし、当然ですが、医師も“ふつう”の人間です。検査や手術の際にはやはり”うまくいくかな”と緊張しますし、亡くなるかたを見送るときには生前の笑顔などを思い辛くなります。私が研修医一年目のとき、主治医をしていた白血病のかたが亡くなった際には、患者さんの枕元で涙が溢れてどうしようもなくなり、トイレに行って泣きました。ポケットベルでお見送りに来るようにと呼ばれても、目が真っ赤に腫れて涙が止まらずなかなかトイレから出られなかったのを覚えています。一生懸命治療をすればするほど繋がりは深くなりますから、闘病の長かったかたをお見送りするのは本当に辛いものです。

別に医師が「死」になれているわけではありません。ただ感情の抑え方を体得することはできるかもしれませんが。

医師は「人を救う」のが仕事ですが、つまりは「死と隣り合わせ」ということです。「死」は「生」の対極にあるのではなく、「死」は「生」のつづきにあることを実感しています。

医師の寿命は平均寿命より10年短いと言われます。この数字には異論もあるようですが、岐阜県保険医協会の2008年~2017年の調査では、開業医の死亡時平均年齢が70.8歳、また60歳台の死亡が34%と高いとあります。また、医師のアルコール依存症は一般の方の3倍とのデータも見受けられますし、医師のうつ病も多いと言われます。2015年のJAMAの論文には「研修医の28.8%がうつ病または抑うつ状態をきたしている」とあり、筑波大学の前野教授らの報告などにも、抑うつ状態の医師は全体の20-30%としています。実態を知るにはもう少し調査が必要だとは思いますが、責任の重圧、不安、過労、精神的ストレスはかなりあると思います。

医師が何も感じていないわけではなく、精神的に強いわけでもありません。それを押し殺して仕事をしているのです。患者さんの最期に涙し、自分の無力に肩を落とします。居丈高で自分の意見を押し通そうとする医師もいるでしょうが、結構、デリケートな生き物だと思っています(笑)。

患者さんが医師の何気ない言葉に元気になったり、傷ついたりすることがあると思いますが、医師も患者さんのちょっとした言葉にとても喜びを感じたり、落ち込んだりする、ふつうの人間です。あたたかく見守ってやって下さい。

 

 

 

 

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